6月に読んだ『三因方』は,五用乖違病脈。
三因といえば,内因、外因そして不内外因なんだけど,内と外の概念に変化が有ることを,著者の陳無擇さんは,おそらくは予定せずに,知らしめてくれている。
『霊枢』の五色(『三因方』では漢論)には,人迎が盛堅なのは寒に傷なわれたのであり,気口が盛堅なのは食に傷なわれたのであるという。素直に考えれば,気象の影響と,飲食の適否である。気口の盛堅が表現しているのは,消化器系におこっている問題。ところが,後には『素問』『霊枢』の中でも,大胆にいってしまえば,人迎でハードウエアの具合を診察し,気口(篇によっては脈口とか寸口とか)でソフトウエアを分担する五蔵の状態を判断する。よせばいいのに,その両者のつじつま合わせのために,五蔵の状態の如何によって精神の鬱発を生じ,それが飲食に影響する,などと苦心して説明を試みる。それがまた,必ずしも達意の文章ではない。(古い文章がわかりにくかったら,書き手がへたくそなのか,伝承の過程で文字が間違ったのか,も疑ってみる。)
それにしてもこの五用乖違病脈の項の末尾は,「学者当看外証,不必拘脈」(学ぼうとするものよ,外証を考えてみなさい,必ずしも脈に拘ることはない)である。常識的に知っているつもりのことも,もとへもどって探れば,必ずしも金科玉条ではない。
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