2012年9月9日日曜日

明石物語

今日は,明石で内経医学の基本と臨床なんて話をしてきました。
いや,初めて会う人を相手ですから,そう突っ込んだ話もできないんですが,まあ,『素問』『霊枢』を読むんだったら,なるべくちゃんとした本を選んで,それでも有るはずの間違いは正しながら,というようなことです。

学者先生のご意見は貴重ではあるけれど,相互に意見の対立なんてことも有るし,中国の高名な先生ほど,文献の専門家であって,臨床に四苦八苦しているものの気持ちを,わかってくれてない,なんて愚痴も。

具体的に『素問』『霊枢』を読むについては,いま現在気になっていることを解決するために読む,なんてやりかたが有る。その場合,少なくともいろんなところに書かれていることを探り出して,できればその学説の形成史を自分なりに構築してみて,さてどの段階が自分の今の悩みを解くには有効か,なんてのが良いのではないか。

あるいはまた,巻首から順に読んでいくというのが,仲間を集めてのドングリの背比べの読書会だったら,実際的かも知れない。そのときにも,一つの篇だからといって,言われていることに辻褄が合っているとは限らない。あっちの篇に書かれている説明の方がここにぴったりしそうなのに,どうしたことか,なんて考えながら読む。それが楽しいか,苦しいか。少なくとも,そんな具合でないと,役に立つ可能性も少ないんじゃないか。

ひょっとしたら,めんくらわせちゃった,だけだったかも。
懲りずに質問なり,難癖なりをどうぞ。

3 件のコメント:

神麹斎 さんのコメント...

初めて会う人たちの前でお話しするのは難しい。
前提となることがらを吹っ飛ばしてしまって,分かりにくかったのであるまいかと心配したり,あるいはそんなこと常識だよ,まどろっこしいと欠伸されたんじゃあるまいかと危惧したり。それでまあ,質問の時間をやや長くして,問答で少しは互いの接点を探ろう,としてみたりする。
でもなかなか,それも難しい。今回でも,質問の意味がよくわからないことも有った。円針と円利針と,またまた円鍉針と,どれのことを言われているのか結局よく分からなかった。正直なところ,失礼ながら,そんなことを今さらと思うような質問も有ったけど,本当はもっと深い意味での質問だったのかも,と後から心配になる。もう少し丁寧に応えるべきだったか,と思うこともある。
最後の最後に質問された,古い人迎気口診における人迎で診る外とは筋骨のことか,気象環境のことかという質問は,私にとっては良い質問で,なんでみんなの前でしてくれないの,と思ったりもした。(話の進行という意味でも良い質問。)答えとしてはそれはまあ,五色篇の人迎気口診では気象環境のことなんだけど,内経医学においては,外からの邪がまず皮膚に入り,肌肉に入り,府に入り,最後は蔵に入ったらお仕舞い,と考える有力なグループもいたんだから,人迎気口診の本質を考える上では,筋骨のことと言っても間違いではなかろう。ましてや,昨日は寿夭剛柔篇で,五蔵、六府、筋骨、皮膚のどれが陰の陰で,どれが陽の陽,なんて話をしているのだから,外は皮膚や筋骨のことだろうと思うほうが素直だったかも知れない。でも,五色篇の人迎気口診では,人迎の盛堅は寒のせい(経文には無いけれど,例えば軟弱であれば熱のせい),気口の盛堅は食のせい,と言っているんだから,そして五色篇のものが人迎気口診の原形だったのではないか,と言っているんだから,それはまあそうした意味では,外と内は,気象と飲食のことです。と応えたところで本当は,ちょっと待ってよ,と間の手が入るべきなんです。三因と言うとき,外が気象条件は良いとして,内と言えば七情で,飲食は不内外因じゃなかったか,と。でも,そこで,ダカラア,内外の概念は『素問』『霊枢』の中でも変化していて,なんて始めたら,ダカラアとダケドオで,お話しの時間をちょっとやそっと延長したって無理です。だから,たとえドングリの背比べであったとしても,定期的な読書会は有らまほしい,と独り言。

神麹斎 さんのコメント...

質問された員利針,やっと分かりました。
鍼灸販売のカナケンがいうところの員利針でしょう。残念ながら,その形の針をそう呼ぶのは,古典の立場からいえば大間違いです。
やっぱり,ヒューマンワールドのインタビューに応えている,石原克己氏が示すところの九針が,古典的,文献的には(唯一?)妥当かと思います。
http://www.human-world.co.jp/dvd/kanren/dvd001_1_kanren_.html

乗黄 さんのコメント...

関西方面では小児針が盛んで、その小児針のいくつかの種類の中の一つに員利針があるんです。ですから、これは古代九針とはまったく関係ないのではないでしょうか。
でもね、この員利針をあたかも古代針の一つみたいなつもりで使用している会派は、確かにありましたよ。

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